Windows11 非対応環境のアップグレード

1.概要

Windows11はGPTとTPMあり(2.0以上)のが公式の動作環境である。今回、そういった環境を有しない構成(MBRでTPMなし)にてアップグレードインストールを試すこととした。下表の右下の環境となる

ブートスタイルTPMあり(2.0以上)TPMなし
GPT〇公式サポート
MBR本投稿の網羅する範囲
▲Windows11の動作条件抜粋

なお、本投稿の内容にて何らかの損失が生じたとしても、責任は負わない。自己責任、趣味の範囲で実施のこと。

2.インストール媒体の作成

他のサイトにはレジストリの編集を行う、.wimファイルを差し替えることでインストールが可能になるとの記事も見られたが、こちらの環境ではいずれも成功しなかった。そんな中、あるファイルを操作することでインストールが可能となる記事を見つけたことから、試すこととした。

https://www.windowslatest.com/2021/06/28/youll-be-able-to-bypass-windows-11-tpm-2-0-requirement/

https://www.sumahoinfo.net/entry/windows-11-upate-easily/

Windows11ではそのままでは、前述の非対応環境にはインストールできない。まずは、MS公式サイトからMediaCreationツール(MediaCreationToolW11.exe:バージョンによってはファイル名が異なる可能性あり。本環境では10.0.22000.318がアップグレードインストールできた)をダウンロードしUSBメモリ(以降USB媒体)を作成する。USB媒体の作成について詳細は割愛するが、8GBの空き領域が必要となり、再フォーマットされてもよい媒体とする。

3.インストール媒体の改良

作成したUSB媒体の以下のファイルをリネーム(ファイル名を別名に変える)する。元記事ではWIndows10のバージョンに置き換える又は削除するという方法であった。

USB媒体のドライブレター¥sources¥appraiserres.dll

-appraiserres.dll」とした。

4.ハードウェア

非対応環境として用意したのは、Intel製マザーボードDP965LTである。CPUはCore2Quad Q6600、主記憶は6GBである。これにSATA接続のHDDとMSI製nVIDIA 710GTグラフィックスカードを接続した構成である。

▲非対応環境の外観

5.アップグレードインストールの開始

非対応環境にはあらかじめMBRスタイルのWindows10(21H1)がインストールされており、そこで、”3”にて手を加えたUSB媒体上のsetup.exeをクリックしてアップグレードを開始する。

▲セットアップ開始

↑「次へ」を選択して続行する。

▲選択肢が表示される

↑「今は実行しない」を選択し、「次へ」とする。

▲チェックが行われる
▲ライセンスへの同意
▲インストール前の確認

↑上記画面にて「インストール」をクリックすると、インストール作業が実行される。

再起動前のインストール進捗表示
▲インストール中 進行画面

↑上記画面でしばらくすると進捗に伴い再起動する。

▲再起動直後

↑USBインストール媒体を取り外し、「はい」で続行する。

▲再起動後

↑インストール作業が完了するまでひたすら待つ

▲Windows11システム情報

アップグレードインストールに成功した。

6.参考

作成したUSB媒体からの起動による新規インストールを行ったところ、オペレーティングシステムのエディションを選択後、以下の画面となり、インストール作業の続行は不可であった。

▲新規インストールの試行結果

Windows10におけるIDEからAHCIへのモード変更

Windows10(21H2)でIDEからAHCIに設定を変更した際のメモ。

使用したマザーボードはASUS P8-H77-MでH77チップセットを搭載し、UEFIBIOS(以降単にBIOSと表記)上でSATAのモードがIDE,AHCI,RAIDに変更できる。このマザーボードにてIDEでセットアップしたWindows10を接続し、AHCIにモード変更して動作させる。

操作方法を誤るとOSを起動できなくなるリスクがあるので、ディスクのクローンを作成するなど適切なバックアップを施したうえで各自の責任で実施してほしい。本サイトでは責任を負わない。

1.初期状態

Windows10(OS)のデバイスマネージャとBIOSの状態を以下に示す。

IDEモードのデバイスマネージャ画面
IDEモードのデバイスマネージャ画面

OS上でIDEモードでは「IDE ATA/ATAPIコントローラー」が認識されている状態をIDEモードとしており、今回はこれを変更する。

IDEモードのBIOS画面

SATAモードの設定はBIOSメニューのAdvanced内から設定できる。(マザーボードメーカにより設定項目は異なる)

2.変更方法

初期状態から操作を行う。なお、ここでのセーフブートとは「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」で設定する一時的なセーフモードではなく、「msconfig」を使用し継続したセーフモードを指す。

ファイル名を指定して実行もしくは任意の方法により「msconfig」と入力しを実行する。システム構成に関連するツールが起動するので「ブート」タブのセーフブートに☑を入れ再起動する。

msconfig画面
msconfig画面

再起動後、セーフモード(解像度が低く、画面四隅にセーフモードと表示された状態)で起動することを確認し、電源を切る。

再度電源を入れ、BIOSメニューを呼び出し、先ほどのAdvanced内SATAモードを「AHCI」に変更し設定を保存して再起動する。

AHCIモードのBIOS画面

上記変更後、OSがセーフモードにて起動する際、AHCIモードに必要なデバイスドライバを認識しセットアップする。デバイスマネージャを確認すると下記のドライバがセットアップされている。

AHCIモードのデバイスマネージャ画面
AHCIモードのデバイスマネージャ画面

セーフモード上にて「msconfig」を起動し、セーフブートのチェックボックスを解除し、再起動する。これにより通常起動すれば成功となる。

更に、チップセットに対応するinfupdateにより、最終的には以下のような状態となった。

AHCIモードのデバイスマネージャ画面infupdate

ポイント

Windows10はセーフブートを経由しないと、IDEモード以外の状態を再認識できない。

補足

他のサイトに記事ではレジストリ変更をすることで有効となる記述もあったが、当方の環境ではそうはならなかった。今回、レジストリ変更は行っていない。具体的には、レジストリ変更(HKLMのstorahci内のパラメータ2箇所)し、BIOS設定をIDE→AHCIしたところ、くるくる画面の後、ブルースクリーン(BSOD:INACCESSIBLE BOOT DEVICE)となりシステムが停止。BIOS設定をAHCI→IDEで復旧した。

おまけ AHCI→RAID

上記の要領で、セーフブートにした後、BIOS設定を「RAID」に変更してOSを起動すると、デバイスドライバが再度セットアップされることを確認した。

RAIDモードのデバイスマネージャ画面

lenovo Twist のBIOS Update

lenovo製ノートパソコンのBIOSをアップデートする機会があったため、その際のメモとなる。本内容は参考としBIOSアップデートにより発生したいかなる損害についても一切の責任を負わない。

lenovo製Twist ThinkPadS230uのBIOSアップデートに先立ち、既存のバージョンを確認する。BIOSメニューは電源ON後lenovoのロゴ表示場面でF1キーを押下することにより表示させることができる。BIOSメニューの「Main」では以下の表示となる。

BIOSアップデート前の表示 1.71
更新前

以下のサイトからBIOSファイルをダウンロードする。

https://pcsupport.lenovo.com/us/en/products/laptops-and-netbooks/thinkpad-twist-series-laptops/thinkpad-twist-s230u/3347/downloads/ds032000-bios-update-utility-bootable-cd-for-windows-10-64-bit-81-8-7-32-bit-64-bit-thinkpad-twist-s230u

当該ファイルをダウンロード後、実行するとインストーラー形式で進行する。あらかじめACアダプタを接続しておく。インストールする場所はデフォルト(C:\DRIVERS\FLASH\gduj33us)とした。(アップデート後同フォルダ内に作成されたWinuptp.logを見ると、ACアダプタとバッテリー容量をチェックしているようだ)その後、再起動を求められる。再起動後、以下の画面となりBIOS更新が行われる。

BIOS更新中
BIOS更新中

更新は消去段階と、書き込み段階に分かれる。上記は消去段階のものである。CPUファンが高速回転で継続するが、進捗を見守る。更新が完了すると再起動する。

再起動後のバージョンをやはりBIOSメニューにて確認したところ下記表示となった。

更新完了 Version1.81
更新完了

無事更新が完了した。

Windows10のハードウェア構成変更時のアクティベート

1.概要

Windows7(ハードウェアとのバンドル(OEM版))からアップデートしたWindows10(Ver1909)において、ハードウェアの構成変更を行ったあとに、Windowsアクティベートを行う際のメモである。Microsoftアカウントを用いてWindows10にログインしていると使用できる方法もあるようだが、ログインに使用してはいないためその方法は使わずに行うことにした。

2.アクティベートの方法

WindowsXPで導入されたWindowsプロダクトアクティベート(WPA)はハードウェア構成変更を検出した場合、ある一定数の変更であれば、ライセンス認証を求めないものの、一定数の変更を越えたハードウェア構成変更を行った場合、ライセンス認証が必要になる。今回、マザーボード交換によりこの一定数の変更を越えたため、下図にような表示がなされ、ライセンス認証を求められた。

ライセンス認証要求
図1 ライセンス認証を要求する画面

この規模の構成変更(マザーボード交換)であれば、従来(WindowXP)であれば下図のような電話対応での変更を求められると想定していた。

WIndowsXPでの電話対応アクティベート
図2 WindowsXPにおけるハードウェア構成変更時のアクティベート画面

しかし、Windows10では図1のトラブルシューティングを選択し表示されたURL[Microsoftのサイトへ]の情報を確認したところ、「ハードウェア構成の変更後に Windows 10 の再ライセンス認証を行う」の「デジタル ライセンスがない場合は、プロダクト キーを入力します。」セクションに記載の方法可能であった。

具体的には図1にて「プロダクト キーを変更する」を選択する。すると図3の画面が表示されるため、プロダクトキーを入力する。

プロダクトキーの入力
図3 プロダクトキーの入力

ここで入力するプロダクトキーはアップグレードする前のWindows7のものを入力し「次へ」をクリックすることでプロダクトアクティベートが成功した。

NEC LS550/M のWindows10化

1概要

CPUはCorei5-3230M 2core4論理プロセッサ、メインメモリ容量は4GB、OSはWindows8.1 64bit、1TBのHDDを搭載したモデルである。

2確認した事象

ファイル名を指定して実行にて、explorerを起動しようとすると、メインのexplorerプロセスが再起動する。また、コマンドプロンプト(管理者)を起動しようとしても同様となる。

そこでセーフモードで起動したが、コントロールパネルの要求すらもメインのexplorerプロセスが再起動する状況であった。事実上このマシンではエクスプローラは使えない状態であった。

3復旧への手順(SSDへの移行)

移行手順は現行の環境(HDD)を保存し、戻せるようにするため、以下の表に示す手順にて段階を経て進めることとした。

段階見出し内容
1SSDへ移行SSDを購入しHDDのクローンを作成する
2Win8.1修復Windows8.1のトラブルシューティングを行う
3Win10移行Windows10に更新するクリーンインストール
表1 対応手順

3-1 SSDへ移行

HDDは裏面のねじを2本緩めることで、取り出すことができる。HDD自体はSATAコネクタのみで支持されている。

背面のHDD
裏面のHDD

購入したSSDはWesternDegital(以降WD)のWD Blue 1TBである。交換自体容易に行えることが分かったところで、SSDをUSBにて外付けしWD専用のAcronis True Image WD EditionにてデータのHDDを丸ごとSSDへコピーする。作業完了後、HDDをSSDへ交換する。

SSDへ交換後
SSDへ交換後

3-2 Win8.1修復

SSDからの起動はUEFIを変更することなく通常通り起動した。起動したWindows8.1の修復に移る。当初は容易に修復できるだろうと考えたが、甘かった。以下の手法を試した。

確認したところ、イベントログには以下のイベントが記録されていた。

アプリケーションエラーその1 イベントID 1000
アプリケーションエラーその1 イベントID 1000

explorer.exeがイベントID1000のNTDLL.DLLにてApplication Errorを記録していた。他のイベントも確認したところ、以下のエラーが記録されていた。

アプリケーションエラーその2 イベントID 1000
アプリケーションエラーその2 イベントID 1000

障害が発生しているosのモジュールは別(KERNELBASE.dll)であったもののノートン360もexplorer.exeと同様であった。調査したものの、このエラーに対して有効な解決策は見つからなかった。safeモード(通常ブートで管理者権限のコマンドプロンプトが上記のエラーで開けなかった)での「sfc /scannow」や新規でユーザーを作成(ユーザー固有のレジストリ設定が起因と考え)してみたものの、効果はなかった。そこでオリジナルのHDDにいったん戻し、NEC再セットアップメディア作成ツールによるリカバリーディスクの作成を試みたが、以下のエラーでディスクが作成できななった。

再セットアップメディア作成ツールのエラー
再セットアップメディア作成ツールのエラー

上記エラー(VerifyReady)はそれまでのexplorer.exeやノートン360と異なりイベントログに記録が残らないため、別の原因であると推測されるものの、原因特定には至らなかった。

最後の手段として、SSDのWindows8からWindos10にアップグレードインストールを行った。アップグレードインストールの際は不要なサービス「NT Meter」を停止して行ったものの、驚いたことに結果は変わらずであった。但し、Windows10はデジタルライセンスによる認証が自動で行われ、ライセンス的には問題なくインストールできた。

3-3 Win10移行

Windows8の修復は困難であると判断し、SSDへ再度Windows10をクリーンインストールすることとした。Windows10のDVDブートにてインストールを開始し、問題なくインストールできた。インストール後はWindowsUpdateにて更新を繰り返し行った。デバイスマネージャー上もすべてのデバイスが認識されている。クリーンインストールにより発生していたApplication Errorは記録されず、エクスプローラが使用できる状態となった。